日焼けについて(サンバーンとサンタン)
日焼けについて(サンバーンとサンタン)
そろそろ紫外線も強くなり日焼けの季節ですね。
日焼けについてと日焼けしてしまった時のアフターケアについてお話します。
≪ 日焼けとは ≫
日焼けとは、太陽光線に含まれる紫外線を浴びることによって起きる、皮膚の色素沈着や炎症のことです。一口に日焼けといっても、過剰な紫外線を浴びることによって、皮膚がダメージを受けて炎症を起こして赤くなり、その後、メラニン色素が皮膚に沈着して、肌色が濃くなる2つの種類があります。日焼けの程度は、ひとりひとりの肌質や、浴びた紫外線の種類や量によって個人差があります。ひどい場合は、紫外線を浴びたところがやけどをしたときのように水ぶくれができる場合もあります。
≪ 日焼けの基礎知識 ≫
紫外線を浴びると、私たちの体は日焼けをします。日焼けには、紫外線を浴びた数時間後に肌が赤くなる「サンバーン」と、数日後に肌が黒くなる「サンタン」という種類があります。サンバーンが2~3日程度で消えるのに対して、サンタンが消えるまでには数週間から数カ月といった長い期間がかかることも珍しくありません。
サンタンによって肌が黒くなるのは、体が紫外線の被害を防ごうとする防衛反応です。よく「サンタンが紫外線を防ぐ」と誤解されることもあるようですが、実際に紫外線を防ぐ効果はとても小さく、SPF4程度だといわれます。なお、一般的な日常生活レベルで使われる日焼け止めは、SPF10~35です。
日本で紫外線がもっとも強くなるのは6~8月ですが、紫外線の強さや量は地域によって異なります。また、紫外線量は環境によって大きく異なり、日陰の紫外線量は日向の50%、光が反射しやすい新雪の上では紫外線量が100%+80%となります。紫外線をよく反射する雪や砂のある環境では、日焼けをしやすくなることに注意しましょう。
≪ サンタンとは ≫
サンタンによる皮膚への色素沈着は、紫外線から身を守るためのいわば生体防御反応なので、特に治療の必要はありません。色素沈着はしばらく持続しますが、紫外線を浴びない生活をしていれば、徐々に元の肌色に自然に戻っていきます。
≪ サンバーンとは ≫
サンバーンでは、皮膚に炎症が起きている状態なので、適切な治療が必要です。
軽度の場合……できるだけ早く患部を冷却し、炎症による症状を抑えましょう。
濡れタオルや冷水で患部をよく冷やしましょう。
中等度の場合…患部を冷却してもなお、患部の熱感、赤み、ヒリヒリ感が続く場合は、皮膚科を受診してください。
重度の場合……強い炎症のために患部に水ぶくれができた場合は、やけどと同じような症状と言えます。適切な治療が必要なので、すぐに皮膚科を受診しましょう。症状が広範囲に及んでいる場合や、頭痛、嘔吐、倦怠感などの全身症状がある場合は、ただちに受診が必要です
≪ 日焼けによる水ぶくれは、やけどと同じような症状 ≫
日焼けは、熱いものに触れるとなってしまう「やけど(=熱傷)」の一種です。やけどはその深さによって3段階にわけられるのですが、日焼けはその中でも「Ⅰ度(軽度)」もしくは「Ⅱ度(中度)」に分類されます。Ⅰ度は皮膚の表面だけがダメージを受けている状態で、肌が赤くなってヒリヒリとした痛みを感じます。一方、Ⅱ度は皮膚の深いところまでやけどが達しており、水ぶくれを起こし、ひどいものでは痕が残ることもあります。
≪ 紫外線の浴びすぎは健康に悪いの? ≫
私たちが目で見ることはできませんが、太陽光には「紫外線」が含まれています。紫外線は、体内でビタミンDを作るために必要な要素です。ビタミンDには、腸でのカルシウムの吸収を2~5倍にする働きがあります。不足するとカルシウム不足による骨粗しょう症などになるおそれがあり、大切な栄養素といえるでしょう。ところが、紫外線を浴びすぎると、皮膚や目の健康に影響を与えると考えられています。たとえば、紫外線を浴びた数時間後に起こるサンバーンでは、皮膚に炎症が起こって赤みや痛みといった急性傷害が生じることも。また、日焼けのダメージが長年にわたり続くと、肌にシワやシミなどの慢性傷害が現れます。ほかにも皮膚に良性や悪性の腫瘍ができるおそれがあり、目には白内障などの病気のリスクがもたらされます。
≪ 紫外線の浴びすぎを避けるポイント ≫
皮膚や目の健康を守るためにも、日頃から紫外線の浴びすぎを避けるよう心がけましょう。外出をするときは、紫外線の強い10~14時の時間帯や、紫外線量の多い環境をできるだけ避けましょう。その際は、できるだけ日陰に入ったり、衣服・帽子・日傘・サングラスで肌や目を覆ったりする対策が有効です。また、屋外の紫外線を避けるのが難しいときは、肌に塗る日焼け止めや飲む日焼け止めを活用する方法もあります。市販の日焼け止めは、利用シーンに応じたSPF・PAの数値から選ぶと良いでしょう。特に、レジャーやスポーツのように、長時間にわたり紫外線の強い場所で過ごすときは、数値が高くかつ耐水などの効果も併せて確認してみてください。
≪ 日焼け止めの表記「SPF値、PA値」の見方 ≫
日焼け止めのパッケージには、SPF値とPA値という2つの指標を示す数字と記号が印字されています(例:SPF 30 ++、SPF50 +++など)。これらの値は、それぞれ、UVB とUVAという2種類の紫外線に対する日焼け止め効果を表しています。
SPF…UVBを防ぐ効果を表す値。値が高いほど、肌が赤く炎症を起こす反応(サンバーン)を防ぐ効果が高くなります。
PA…黒くなる日焼け(サンタン)や、しわ、シミの原因になるUVAから保護する効果を示しています。+:UVA防御効果がある、++:UVA防御効果がかなりある、+++:UVA防御効果が非常にある
日常的なちょっとした外出には、SPF、PA共に低めのものを、野外での作業やレジャーなど、強い紫外線に長時間曝される環境ではSPF、PA共に高いものを選ぶと良いでしょう。スキンフォトタイプに合わせて選ぶのもおすすめです。赤くなりやすい人は、「SPFが高め」の日焼け止めでUVBをブロックし、サンバーンを防ぎましょう。逆に、ほとんど赤くならずに黒くなりやすい人は、「PA値が高め」の日焼け止めでUVAをブロックし、サンタンを防ぎましょう。
≪ 日焼けをしたときにやってはいけないNGケア ≫
良かれと思ってやったケアが、実は肌にとって刺激や負担になってしまっているかもしれません。日焼け後にやってはいけないNGケアを解説します。
日焼けをした後は皮膚がやけどしているような状態なので、そこにフェイスパックをすると肌には刺激になってしまい、かえって肌を痛めてしまいかねません。日焼け後は冷水や冷たく濡らしたタオルなどですぐに冷やし、肌を落ち着かせてください。ほてりや赤みが引いてきたらフェイスパックを使いましょう。
・化粧水などを肌へ叩き込むケア
化粧水をつけるときに、叩くようにつけると肌に負担をかけてしまい良くありません。叩き込むのではなく、肌の奥へ浸透させるようにやさしくそっとハンドプレスで化粧水をつけましょう。
・マッサージ
マッサージは血行を良くする効果が期待できますが、日焼け後は肌が敏感になっており、マッサージの摩擦で肌にストレスを与えてしまい、良くありません。マッサージは肌が通常の状態に戻ってからおこなうようにしましょう。
≪ 日焼けによる肌の痛みがある場合 ≫
日焼けによる肌の痛みがある場合はどのような対処をおこなえば良いのでしょうか。程度によって対処法は異なりますので、それぞれの対処方法を解説します。
軽度 : 肌に赤みがあり、ほてりやヒリヒリする症状は、比較的軽度なものとされています。症状が軽ければ、冷水や冷やしたタオル、ビニール袋に氷水を入れたものを使って、しっかり冷やしましょう。冷やす時間は10〜15分程度が良いとされています。
中程度: 冷やしても赤みやほてり、ヒリヒリ痛みが残っている場合は、中程度の日焼けとされています。赤みや痛みが残っている場合は、炎症や痛みを抑えてくれる軟膏を塗ると良いでしょう。決められた量を塗ることが大切です。適量を手に取り、やさしく塗り込みましょう。
重度 : 日焼けした範囲が広い、水ぶくれや発熱、倦怠感などがある場合は、重度な日焼けとされています。悪化する前に受診しましょう。受診するまでの間は、しっかり冷やすことを忘れずにしてくださいね。
日焼け対策万全にしてこの夏も楽しみましょう
日焼け後の痛みで心配な場合は、いつでも受診して下さい。