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アトピー性皮膚炎の治療方法

<外用療法>

炎症やかゆみを抑える塗り薬(抗炎症外用薬)

  • ステロイドの塗り薬…免疫反応を抑えるはたらきがあります。(商品名 アンテベート・ロコイド・リンデロンなど)

 

 

 

  • タクロリムス(カルシニューリン阻害)の塗り薬…炎症・痛み・発熱を引き起こすプロスタグランジンを生み出す要素の1つであるシクロオキシゲナーゼの働きを阻害し、プロスタグランジンの生成を抑えます。(商品名 プロトピックなど)

 

 

 

  • デルゴシチニブ(JAK阻害)の塗り薬…炎症やかゆみが伝わる信号の経路である「JAK-STAT(ジャック・スタット)経路」を抑えることで、炎症を引き起こす原因物質をブロックするはたらきがあります。

(商品名 コレクチム)

 

 

  • ジファミラスト(ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害)の塗り薬…PDE4(ピーディーイーフォー)は身体の中の細胞に存在する酵素(タンパク質)で、炎症を抑えるシグナルを分解するはたらきがあります。アトピー性皮膚炎の患者さんの炎症細胞で増えていることが知られており、PDE4のはたらきを抑えることで、炎症を抑制するシグナルを上昇させるはたらきがあります(商品名 モイゼルト)

 

 

 

<内服薬>

炎症やかゆみを抑える飲み薬

  • カルシニューリン阻害の飲み薬 (シクロスポリン・ネオーラル)

 

 

  • ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害の飲み薬(オルミエント・リンヴォック・サイバインコ)

 

 

  • ステロイドの飲み薬(プレドニン・デカドロンなど)

 

 

<注射(生物学的製剤)>(デュピクセント.ミチーガなど)

アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす原因と考えられているIL(インターロイキン)-4とIL-13の過剰なはたらきを抑える注射剤(15歳以上が適応)と、アトピー性皮膚炎のかゆみの原因となるIL-31の過剰なはたらきを抑える注射剤があります。これらの注射剤を投与できるのは、今までの治療で十分な効果が得られない成人(IL-31のはたらきを抑える注射剤は13歳以上)の患者さんです。

これらの注射剤で治療するときには、ステロイドなどの塗り薬や炎症やかゆみを抑える塗り薬を一緒に用いる必要があります。

 

 

<紫外線療法>

紫外線療法は、抗炎症外用薬や抗ヒスタミン薬、保湿剤などでよくならない患者さんや、従来の治療で副作用が生じている患者さんで行われます。紫外線は皮膚の免疫に関係する細胞のはたらきを抑制する作用があり、UVAとUVBを照射するナローバンドUVB療法などの治療法があります。

 

      

 

 

<抗ヒスタミン薬の飲み薬(補助療法)>(ビラノア・ルパフィン・デザレックスなど)

神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え蕁麻疹、花粉症、喘息などによる、皮膚の腫れや痒み、鼻炎(くしゃみや鼻みずなど)、咳などの症状を改善する薬です。

 

 

アトピー性皮膚炎を効果的に治療するためにはプロアクティブ療法が必要です。

【プロアクティブ療法のポイント】

まずは寛解導入を確実に行います。寛解のためには、適切な用法・用量の抗炎症外用薬を塗布することが重要です。

寛解導入後、寛解を維持できる頻度で、塗布回数を減らしながら塗布を継続します。抗炎症外用薬を減らしている期間には、皮膚バリア機能と水分保持のために保湿剤を使用することが必要です

プロアクティブ療法で、抗炎症外用薬を最小限に使用し、最大の効果を得るためには、悪化因子の対策を継続することが大切です。

 

最後に

アトピー性皮膚炎は皮膚の乾燥は症状を悪化させたり治りにくくさせたりするので、保湿剤でうるおいを保つことが大切です。水分やセラミドを補うもの、油分で皮膚をおおって水分の蒸発を防ぐものなど、いくつかのタイプがあります。剤形にもクリーム、ローション、軟膏、フォーム剤などがあり使用感が異なります。医師と一緒にあなたの好みや皮膚の状態に合ったものを選んでください。

 

 

参考資料

日本アレルギー学会・日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」アレルギー2021;70:1257-1342

製薬会社マルホ

2023年7月現在

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