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皮膚科で処方されるステロイド薬って怖い??

[2024.04.23]

 

「ステロイド」と聞くと、強い薬で副作用が怖いと感じる方は多いと思います。実際、ステロイド薬は幅広い疾患に対する治療に用いられており、高い効果も期待できる薬です。また、適切に使用することで、副作用のリスクも抑えることができます。ステロイドを恐れずに安心して使用するために、基本的な情報と副作用、安全に使用していく上での注意点をお話したいと思います。

ステロイド薬に対しての正しい理解を深めていきましょう。

 

 

 

≪ ステロイドって何? ≫

そもそもステロイド薬とはどういうものだと思いますか?

ステロイド薬とは、腎臓の上にある副腎皮質という部分で作られているホルモン(副腎皮質ホルモン)を配合している薬のことをいいます。この副腎皮質ホルモンは、体の中で血糖値の調節や炎症を抑えるなどのさまざまな働きをしています。副作用にも注意が必要な一面はありますが、いろんな疾患の治療において高い効果が期待できる薬です。

 

 

≪ ステロイド薬は、どんな病気に使われるの? ≫

ステロイド薬は、アレルギー反応、喘息、関節炎、皮膚疾患、自己免疫疾患、さらには一部のがんの治療など、さまざまな疾患の治療に使用されます。抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用など幅広い効果によって症状を和らげる働きがあります。

ステロイド薬には、皮膚に使用するクリームや軟膏、吸入薬、経口の錠剤、注射などがあります。使用するステロイドの種類は、治療する症状や疾患の場所によって異なります。

 

≪ 皮膚科で使用するステロイド薬とは? ≫

ステロイド薬は皮膚疾患やアレルギー症状などさまざまな症状に用いられる薬なので、使用された事がある方も多いと思います。その一方で、やはり副作用が怖いというイメージも根強い薬です。ですが、高い治療効果が期待できる薬です。

ステロイド外用剤とは、ステロイド(合成副腎皮質ホルモン)という薬効成分を配合した湿疹・皮膚炎の治療などに用いられる薬のことをいいます。副腎皮質ホルモンとは、体内の副腎で、コレステロールからつくられるホルモンのことでステロイドホルモンとも呼ばれます。副腎皮質ホルモンは、糖や蛋白質などのさまざまな代謝を調整する働きに加え、もう一つ大切な役割を担っています。それは、炎症を起こすタンパク質の生産を抑えつつ、炎症を抑えるタンパク質を生む働きです。つまり、副腎皮質ホルモンのおかげで、炎症の流れを食い止めることができるわけです。

 

≪ ステロイド外用剤は強さによって使い分ける ≫

ステロイド外用剤は強さによって5段階に分けられます。

ストロンゲストが一番強いお薬になり、ベリーストロング、ストロング、マイルド、ウィークと強さが下がります。

 

≪ 効果が高いタイプから徐々にレベルを下げていく「ステップダウン療法」 ≫

ステロイド外用剤は、他の薬剤と同様、ウィーク、ミディアムといった弱い薬から始め、その効果をみながらストロング、ベリーストロングと強さの段階をあげていく「ステップアップ療法」が一般的でした。ところが効果の低いものを使い続けると、治療期間がいたずらに長くなり、場合によっては症状が悪化することがわかってきたため、現在では「ステップダウン療法」が主流になっています。まず効果の高いステロイド外用剤で短期間に症状を改善し、様子をみながら弱いタイプへ移行していく方法です。

 

「いきなり強い薬を出された!!」と心配される方もいらっしゃいますがなるべく短い期間で症状をよくするための治療方法です。使用開始から1~2週間使用後に診察を受けていただき患部の症状を診察してステロイドを弱いものに変更するか、そのまま継続するかを決定します。ですので、ステロイド外用薬を使用している時は、自己判断でやめたり、使い続けたりしないようにして下さい。自己判断での使用が副作用を引き起こす可能性があります。

 

≪ 部位によってステロイド外用剤を使い分ける ≫

身体のどの部位に炎症が起こっているかによって、ステロイド外用剤の強さを使い分けることが必要です。ステロイド外用剤の吸収率は腕を1とした場合、頭皮は3.5、手のひらは0.8、足裏は0.1と皮膚の厚さによって全く異なるからです。ステロイド外用剤が吸収されやすい部位としては、頬の13、陰部の42などです。

吸収率の高い部位ほど長期連用した場合に局所性の副作用が出やすくなりますので、注意が必要です。

 

 

≪ ステロイド外用剤の正しい使い方 ≫

ステロイド外用剤は、適量を指に取り、擦り込まずにやさしく患部に塗りましょう。ステロイド外用剤の適量は、口径5mmのチューブから大人の人差し指の第一関節の長さに押し出した量(約0.5g)で、大人の手のひら約2枚分の範囲に塗るのが一般的な目安です。ただし日本でよく使われているステロイドのチューブは5gチューブのことが多く、大人の人差し指の第一関節の長さに押し出した量は0.25~0.3gです。この目安を基準に、実際の患部の広さに合わせて1回当たりの使用量を決めましょう。

 

 

 

ステロイド外用剤は、塗ったところにだけ効果を発揮する薬です。ステロイド外用剤は、患部だけに塗るようにし、健康な皮膚には塗らないようにしましょう。症状が出ていない部分に漫然と塗布したり、予防的に使用するなど、誤った目的で使い続けていると、局所性副作用が起きるリスクが高まります。

 

≪ ステロイド外用剤の副作用 ≫

ステロイドの副作用は、2つに分けられます。

1.局所性副作用(塗った部分にあらわれる)

 ・皮膚萎縮

 ・毛細血管拡張(顔に起きやすい)

 ・主さ様皮膚炎、口周囲炎、ステロイド紅斑

 ・乾皮症

 ・感染症誘発、悪化

 ・緑内障

 

2.全身性副作用(皮膚を通して吸収される)

 ・小児における成長障害

 ・成人におけるクッシング症候群

 ・糖尿病の誘発・悪化

ただし、これらの全身性副作用は主に内服薬や注射剤など、体内への吸収率の高いステロイド剤を使用した場合に起こるもので、外用剤によって起こることはまず考えられません。ただし、極めて強いステロイド外用剤を大量に、かつ極めて長期にわたって使用を続けたような場合には、内服薬や注射剤と同じように、全身への影響が出る可能性があります。

ステロイド外用剤は皮膚炎などに優れた効果を発揮しますが、漫然と使用するのではなく、症状の改善がみられた場合は使用をやめるようにしましょう。

 

≪ ステロイド外用剤に対するよくある誤解 ≫

ステロイド外用剤に対して、「ステロイドを使うと骨が弱くなる」、「糖尿病になってしまう」など、「ステロイドは怖い薬」というネガティブな印象を持っている人がいるようです。しかしこれらの副作用に関する問題は、ステロイド剤を内服薬や注射剤などによって、長期間にわたり全身に投与した場合に生じるものです。また、「ステロイドは一度使うとやめられなくなる」、「体に蓄積する」といった誤解も見受けられますが、心配する必要はありません。

ステロイド外用剤は、全身への影響を軽減し、皮膚局所へしっかり作用するように作られています。誤った情報に惑わされて、治療の機会を逃さないようにしましょう。

 

ステロイドについて少し理解が深まりましたでしょうか?

ご心配なことがあればいつでも相談ください。

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