小児アトピー性皮膚炎の新しい治療薬が承認されました!
小児アトピー性皮膚炎と新しい治療について
【 アトピー性皮膚炎とは 】
かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。皮膚の【バリア機能】(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下して起こるといわれています。バリア機能が低下しているので外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなります。これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。かゆみを感じやすい状態となっており、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環を早い時期から正しい治療を行い、皮膚を良い状態に保つことが大切です。
【 小児アトピー性皮膚炎 】
近年、西欧型のライフスタイルへの変化とともに アレルギー疾患と同様にアトピー性皮膚炎が増加して生きたといわれています。小児での有症率は平成4年から平成13年にかけて2倍弱に増加しているという全国調査の結果があります。
以前は、食物アレルギーがある子がアトピー性皮膚炎を発症すると考えられていましたが、湿疹がありバリア機能が低下している皮膚から食物が入り込むことによって、食物アレルギーが発症するという仕組みが分かってきました。湿疹を発症してから速やかに積極的に治療を開始する方が食物アレルギーの発症割合が抑制できることも明らかとなってきました。早い時期から正しい治療を行い、皮膚を良い状態に保つことが大切だといえます。
【 アトピー性皮膚炎の悪化要因 】
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は、1つの要因だけでなく、以下のような様々な要因が重なり合って起こることが多いといわれています。これらの悪化要因の対策を行うことも治療を行う上で大切なことになります。
【 痒くなるのはどんなとき? 】
季節の変化、生活環境の影響、ペット、汗やよごれ、ストレス、体調不良などいろいろな原因で痒くなります。お子さんによって痒くなる原因は異なります。食事・不規則な生活・汗疹・乾燥などから起こることが多いです。アトピーは生活習慣以外にストレスや環境によっても悪化します。
【 アトピー性皮膚炎治療の重要性 】
アトピー性皮膚炎の症状である「痒み」によって夜十分に眠れないと、身長の伸びが悪くなったり、学校生活で本来の力を発揮できなくなってしまったりすることがあります。顔に症状がある場合には、白内障や網膜剥離といった眼の合併症のため視力に影響が出ることがあります。ご家族の負担や心労も大変大きいものです。適切な治療を早期に行うことによってこのような影響を防ぐことができます。また、重症アトピー性皮膚炎の赤ちゃんでは、全身状態の悪化や、成長・発達への影響から、治療に緊急性を要することもあります。
【 アトピー性皮膚炎治療の3本柱 】
アトピー性皮膚炎の治療は、
- スキンケア
- 薬物療法
- 悪化要因の対策
3つが治療の基本となり、どれも欠かすことができません。
正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹などの症状が出ない状態にすることができます。
【 新しい治療薬 】
2023年11月~アトピー性皮膚炎治療薬のデュピクセント(注射剤)が生後6か月にの乳児から使用する事ができるようになりました。
2023年12月よりモイゼルト軟膏(外用薬)が生後3か月より処方可能となりました。
乳児より使用できるお薬が増えています。気になる症状のあるお子様はいつでも相談してください。