尋常性乾癬治療薬について
≪外用剤(ステロイド・ビタミンD3)≫
<ステロイド>(商品名:アンテベート・ロコイド・リンデロンなど)
免疫反応を抑えるはたらきがあります。
<ビタミンD3>(商品名:オキサロール)
活性型ビタミンD3誘導体で、表皮角化細胞の増殖を抑制し、表皮肥厚を改善します。
<ビタミンD3+ステロイド>(商品名:ドボベット・マーデュオックス)
活性型ビタミンD3と合成副腎皮質ホルモンの合剤で、皮膚の細胞が異常に増えるために起こる乾癬の症状(皮膚が赤くなる、銀白色の皮が落ちるなど)を、正常な速度で皮膚の細胞が増えるように整えて改善します。また、炎症による皮膚のかゆみ、赤み、はれなどの症状を改善します。
≪内服薬≫
<シクロスポリン> (商品名:シクロスポリン・ネオーラルなど)
免疫担当細胞(リンパ球)に対して作用し、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。主な副作用として血圧上昇、腎機能障害、多毛などが生じることがあるため、定期的な血圧測定、血液検査が必要です。
<レチノイド> (商品名:チガソン)
表皮の角化異常を抑え、正常な表皮を再形成します。主な副作用として、手足の落屑、口唇炎が生じることがあります。
また、胎児に影響を与えるおそれがあるため、服用中止後も、男性は6ヵ月、女性は2 年間の避妊が必要です。
<アプレミラスト>(商品名:オテズラ)
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と呼ばれる薬です。
PDE4を阻害し、細胞内で炎症性および抗炎症に関与する物質の発現を調節することにより、尋常性乾癬の症状を改善します。
主な副作用として吐き気や下痢などの消化器症状が生じることがあります。
内服の仕方
通常、成人にはアプレミラストとして以下のとおり経口投与し、6日目以降はアプレミラストとして1回30mgを1日2回、朝夕に経口投与する。
<ウパダシチニブ> (商品名:リンヴォック)
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
細胞内の炎症反応シグナル伝達因子JAK(JAK1)を選択的に阻害剤する
JAK1を阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑え、乾癬の進行を抑制すると考えられています。
こちらは乾癬性関節炎のみの適応です。
<デュークラバシチニブ>(商品名:ソーティクツ)
チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤です。
乾癬には、Ⅰ型IFN,IL-23,IL-17,TNFαと呼ばれる様々なサイトカイン(炎症性物質)が関与しています。TYK2は、Ⅰ型IFN、IL-12,IL-23のサイトカイン受容体からの炎症シグナルを細胞核伝える役割を担っており、TYK2阻害することで、乾癬に関係するサイトカインを抑え、各種症状に効果があります。
≪生物学的製剤・注射薬≫商品名:スキリージ・トレムフィア・ビンゼレックス
乾癬を引き起こす炎症のサイトカイン(タンパク質)を直接抑制し、乾癬の症状を抑える治療です。
1.コセンティクス
乾癬や強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の症状を引き起こす原因の一つであるインターロイキン(IL)-17Aに作用し、症状を改善します。
通常成人に、1回300mgを、初回、1週後、2週後、3週後、4週後に皮下投与し、以降、4週間の間隔で皮下投与する。
2.ビンゼレックス
皮膚の中で炎症を起こし乾癬の症状の原因となるサイトカインの一種であるIL-17AおよびIL-17Fという物質をターゲットにした薬剤で、これらのサイトカインに結合してはたらきを抑えることで皮膚の炎症を防ぎ、乾癬を改善します。
初回から16週後までは4週間の間隔で、以降は8週間の間隔で皮下に注射します。
3.トレムフィア
IL-23に結合し、免疫担当細胞の活性化を抑制することにより、ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤
初回使用後、4週後、以降8週間隔で皮下投与します。
4.スキリージ
乾癬及び関節症性乾癬の病態に深く関与するIL-23のp19蛋白質に結合し、IL-23を中和するモノクローナル抗体です。
常、成人にはスキリージ®1回150mgを初回、4週後、以降12週間隔で皮下投与します。
≪紫外線療法≫
UVB(中波長紫外線)を照射します。また、UVB の中でも治療効果が高く、狭 い 領 域 の 波 長を照射するナローバンドUVB 療法や、治りにくい部位に対して部分的に照射できるターゲット型エキシマランプも普及しています。
最後に
乾癬患者の多くは1つの治療だけでなく、外用・内服、外用・注射など他の薬と併用される方も多くいます。
いろいろな情報がある中で、長期に渡る治療でもあるためご本人あった治療をしてくことが大切となります。
当医院は乾癬分子標的薬使用承認施設になりますので、乾癬治療であるスキリージ・トレムフィアなどの最新の治療を行えます。
気になる方は当医院までご相談下さい。